あじさい

ここのところ、雨の日が続いています。
雨には紫陽花の花が似合います。

文京区の白山神社にあじさいを見に出かけました。

あじさいは日本が原産地の植物です。
咲き始めのころは白っぽく、徐々に色が変わってくることから「七変化」の別称を持っています。
 

白山神社の境内は紫陽花の花で埋まっていました。
カメラなど抱えた人の群れでも埋まっていました。

 

永井荷風に「あじさい」と名付けられた小説があります。

荷風と思しき人物が駒込通りを散策中に旧知の三味線弾き宗吉と出会うところから小説が始まります。

宗吉はかつて縁のあった芸者の墓参に来たと言います。 

宗吉の昔語りで物語は展開して行きます。

芸者君香（のち小園）と三味線弾き宗吉とのなれそめから始まる物語が続きます。
君香の男性遍歴が延々と続いた後に、宗吉の前の男、新内流しの〆蔵に小園は刺殺されてしまいます。

問題なのは表題の「あじさい」です。

花の描写どころか「あじさい」の名さえ一言も出てこないのです。
この主題とあじさいがどこかでつながる筈だと、読み進むのですが、出てこないのです。
「あれっ」と思って最初からページを繰ってみても、やはり「あじさい」は出てきません。
全然、腑に落ちない読後感でした。

花柳界では次から次に男を変えて行く女を「あじさい」と言うのだと知ったのは、しばらく後のことでした。
「イロを変える」という意味なのだそうです。
荷風さん、やってくれるではないですか。

お昼近くになり、そろそろお腹が減ってきました。
白山神社を後にして、食事にします。

三田線の白山駅から白山神社へ向かう道筋にあるお店です。
パスタの店「こむぎこ」は、結構混むという話でしたので、開店と同時に駆け込みました。
食事を終えて出た時は、小雨の中、行列が出来ていました。