羽子板市 [東京散策]
12月17日から19日は浅草寺の羽子板市です。
18日は観音さまのご縁日で、江戸時代からこの縁日に市がたったそうですが、12月は「歳の市」として正月用品などを商う市がたったそうです。
午後から休みを取って浅草に出かけてみました。
仲見世通りを歩くと、装飾はもうすでに新年でした。
羽子板は本来「羽根突き」の競技用具でしたが、やがて厄払いとしても使われるようになり、新年に魔除けとして女の子に贈られるようになりました。
それから、装飾性が増してきます、「飾り羽子板」の誕生です。
浅草寺の歳の市も新年用品を商う市でしたが、その中に羽子板もあり、やがてその羽子板が市の主役となったようです。
小雨のぱらつく生憎の天候でしたが、月曜日にもかかわらずそれなりの人出で賑わっていました。
買い手が付くと、「お手を拝借」で始まる、手締めを行うのは酉の市などと同じです。
江戸前というのでしょうか、景気が良くてよい風習だと思います。
華やかな色彩とデザインの羽子板を眺め歩いていると師走の慌ただしさを忘れさせます。
女の子への贈り物なのですから、デザインはこのような愛らしい顔の女性になるのでしょうか。
振袖姿の女性がモチーフです。
「江戸好み」と言うのでしょうか。
顔つきは現代風です・・・・が。
こんなのもありました。
ちょっと時代は遡っているようですが。
江戸時代には歌舞伎役者をかたどった押絵の羽子板が人気を呼んだようです。
その年、その年の人気役者が”変わり雛”のように素材に取り上げられたのでしょう。
今も、歌舞伎に素材を取った羽子板が並んでいますが、残念なことに歌舞伎には馴染みがないのでその良さが分かりません。
あいにく「押絵」と「歌舞伎役者」で頭をよぎる連想は、夢野久作の小説「押絵の奇跡」だけでした。
思い浮かべたついでに作品の紹介をしておきます。
『そこの絵馬堂に掲げてあります二枚の押絵の額縁に「お別れ」をしました。あなたと私の運命にまつわっております不思議な秘密と申しますのは、その二枚の押絵に隠れているので御座います。』
探偵小説としては珍しく哀愁の漂う作品です。
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