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ノスタルジック熊本 [只今出張中]

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台風15号が去った8月27日から熊本に出張していました。
熊本を去る日、飛行機の待ち時間を利用して市内散策をします。
熊本への出張は4度に及びますが、今回は明治期の熊本を偲びながら町を歩いてみました。 

路面電車が走る通町筋の向こうにお城の姿を望み、
熊本に来ていること実感を味わいます。
今回は、モノクロの画像で行きます。
名付けて「ノスタルジック熊本」です。 
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熊本のストーリーは、やはり熊本城から始まります。
都市としての熊本は清正の築城から始まりますが、
明治に到り、このお城が城郭として使命を果した以後、
明治期における熊本の町としての性格が明らかになってくるのではないか、
などと思っています。
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『清正は、熊本城を築いた。
当時の築城工学からみればこの城の防御力は最高のものであったらしく、とくに当時の用語で「はね出し」とよばれる石垣積みの工法では同時代のどの城も熊本城に及ばなかった。
それほどに堅牢な要塞を清正に築かせたのは、豊臣政権の戦略的な必要からであった。
薩摩の島津おさえのためである。』
(司馬遼太郎「肥薩の道」)

明治期の熊本を語るには、ここから話を始めないと思っています。
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『熊本城をもって巨きな石蓋としておさえこもうというのが、秀吉の大戦略であった。
徳川氏もそれを踏襲した。
ところがはるかに降って明治政府が、そのエネルギーをもろにかぶってしまった。』(肥薩の道)
 
画像は本丸御殿の大広間です。

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『明治十年の西南の乱で、薩南一万数千のエネルギーが薩肥国境を越えて噴出し、熊本城にぶちあたり、
この清正の城の攻防をめぐって明治政府の存亡が賭せられてしまったのである。』(肥薩の道)

画像は、大天守から望む宇土櫓です。 
大小天守や本丸御殿は西南の役で焼け落ちます。
この宇土櫓は残りました。
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西南の役後、熊本は明治政府の南九州における近代化政策の拠点としての性格を強めていったのではないかと思います。
その一つ、焼野原となった熊本に第五高等学校が置かれました。
西南の役の10年後、明治20年のことです。
そして、ここで錚々たるメンバーが教鞭をとっていることに驚きます。
その一人が小泉八雲です。
松江から熊本に英語教師として着任したのは、明治24年のことでした。
写真は八雲の旧居です。
鶴丸デパートの裏に残されていました。
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八雲は、この家の西南に向き合った8畳間に机と椅子を置き執筆に勤しんでいます。
「知られざる日本の面影」などが、この廊下の面した部屋で書かれたのでしょう。
第五高等学校の生徒たちの印象を、松江の学生と比較しつつ書き残しています。
『かれらがいわゆる九州かたぎなるものを、まるで正札でもつけたように、じつにはっきりと表示していた』(九州の学生とともに)
八雲はいう九州かたぎとは「肥後モッコス」であったのか、薩摩の「ボッケモン」なのかはわかりませんが、山陰の人気と比較すれば、大違いであったとは思います。
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八雲から、しばらくの間をおいて、英語教師として着任したのは夏目漱石です。
明治29年、松山から着任しています。
熊本に住んだ5年間に5回の転居をしていますが、漱石夫人は「熊本にいる間、私どもが住んだ家の中で一番いい家でした」と語っている家が残っていました。

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「行けども萩 行けども薄の原ひろし」
阿蘇の原野が思い浮かぶようです。 
漱石は熊本で多くの句を詠んでいますが、阿蘇などへの小旅行から「二百十日」、「草枕」などの作品が出来ています。
 
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薩摩が維新の原動力になったにも関わらず、
西南の役に象徴される鹿児島の位置に対して、
熊本が明治政府の政策伝搬の拠点となっていったことを感じました。 

人口減に伴い寂しくなっている都市が増えているなかで、
熊本は、現在でも活気が感じられる町です。

通町筋を南北に挟む上通り、下通りのアーケード街は、
早朝、朝帰りの若い男女で混雑し、
夜は通りにつながる路地が仕事帰りのおっさんたちで一杯になり、
休日は、家族連れや、若い人たちや、観光客がごちゃまぜに闊歩していました。


街道をゆく 3 陸奥のみち、肥薩のみちほか (朝日文庫)

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  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2008/08/07
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