SSブログ

『マーメイド』、『マーメイド』 [東京散策]

上野東京芸術大学 014.jpg


お寺の門ではありません。
東京芸術大学、正木記念館の入り口です。
上野の東京芸術大学まで行ってきました。

上野東京芸術大学 017.jpg

お目当てはこれです。
「みてからよむか、夏目漱石の美術世界展」です。
いかにも興味をそそるタイトルの美術展が開催されています。

上野東京芸術大学 009.jpg


ウオーターハウスの「人魚」の絵です。
漱石の英国留学中の1900年に描かれました。
「三四郎」一場面に出てくる絵です。
広田先生の引っ越しを手伝う三四郎と美禰子が画帳を覗きこんで、「人魚」、「人魚」とささやきあう場面です。

「あぁ、その場面の絵はこんなであったのか」と了解しました。
館内撮影禁止ですので、写真は上野公園で見かけたポスターに近寄って撮ったものです。・・・念のため。

『三四郎は詩の本をひねくり出した。美禰子は大きな画帖を膝の上に開いた。勝手の方では臨時雇いの車夫と下女がしきりに論判している。たいへん騒々しい。
「ちょっと御覧なさい」と美禰子が小さな声で言う。三四郎は及び腰になって、画帖の上へ顔を出した。美禰子の髪で香水の匂いがする。
絵はマーメイドの図である。裸体の女の腰から下が魚になって、魚の胴がぐるりと腰を回って、向こう側に尾だけ出ている。女は長い髪を櫛ですきながら、すき余ったのを手に受けながら、こっちを向いている。背景は広い海である。
「人魚(マーメイド)」 「人魚(マーメイド)」
頭をすりつけた二人は同じ事をささやいた。』
展示には、絵の解説の外、漱石の作品の文章も掲げられています。
絵の解説文を読み、それから漱石作品の引用文を読み、絵を眺めてみる。えっ、何々!?。とまた漱石の文章を読み直し、なるほど、と合点する。・・・と、なかなかに忙しい観覧となりました。

上野東京芸術大学 007.jpg


「坊ちゃん」に出てくる、ターナーの松です。
赤シャツと野だがしきりに島の松をみて「ターナーそっくりだ」と言っていたのはこの松なのかと了解しました。
ここも、坊ちゃんの一節を引用します。
あっ、それからこの写真もポスターから撮った写真です。

『「あの松を見たまえ、幹が真直で、上が傘のように開いてターナーの画にありそうだね」と赤シャツが野だに云うと、野だは「全くターナーですね。どうもあの曲り具合ったらありませんね。ターナーそっくりですよ」と心得顔である。ターナーとは何の事だか知らないが、聞かないでも困らない事だから黙っていた。...
すると野だがどうです教頭、これからあの島をターナー島と名づけようじゃありませんかと余計な発議をした。赤シャツはそいつは面白い、吾々はこれからそう云おうと賛成した。この吾々のうちにおれもはいってるなら迷惑だ。おれには青嶋でたくさんだ。あの岩の上に、どうです、ラフハエルのマドンナを置いちゃ。いい画が出来ますぜと野だが云うと、マドンナの話はよそうじゃないかホホホホと赤シャツが気味の悪るい笑い方をした。』

上野東京芸術大学 025.jpg


絵を見て、絵の解説を読んで、漱石の作品からの引用文を読んで、たっぷり2時間の鑑賞でした。
「坊ちゃん」のターナーの松は記憶にありましたが、三四郎の「人魚」の部分は記憶にありませんでした。
単に青春小説として読み飛ばしていたのかもしれません。
改めて漱石の作品を読み直してみる必要性ありと感じています。

上野東京芸術大学 029.jpg


帰りに不忍池を通りました。
ハスの葉が一面を覆っていました。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。