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遊就館(九段) [東京散策]

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ここのところ、週末ごとに雪が降る日が続いていますね。

先週の金曜日の夜は、仕事で出掛けた千葉から中野まで帰って来ました。
乗客が疎らな電車は駅毎に停車して、前の列車の進行を待ち、長い停車を繰り返しています。
開けっ放しのドアから吹き込む冷気に震えながら、帰って来ました。

写真は先週、レンガ坂で見かけた雪だるま・・・。
散歩も控えて、読書に耽る週末が続いています。

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「僕たちの戦争」(荻原浩、双葉文庫刊)
昨日、読了した小説です。
1944年(昭和19年)の吾一と2001年の健太がタイムスリップで入れ替わるストーリーでした。

最近、荻原浩の小説に浸っています。
荻原の小説はプロットがしっかりしていて、ストーリーの展開も人を引き付ける魅力があります。
登場人物を取り巻く世界や、生活の場面のディテールを良く調べ、手を抜くことなく書き込まれていることに感嘆します。

さて、小説では・・・、
吾一は霞ケ浦航空隊の飛行練習生、健太はプータローのサーファーの設定です。
二人は茨城県沖の海でタイムスリップして入れ替わります。
21世紀から昭和19年に飛び、心ならずも特攻隊員となってしまう健太が過ごす世界の展開に引き込まれてしまいす。

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ストーリーでは健太は霞ケ浦航空隊の練習生から人間魚雷、回天の特攻要員となってしまうのです。
特殊兵器としての回天の描写もきっちりしています。
全長14.75m、直径1m、全重量8.3トンの人間魚雷「回天」・・・。
その操縦席の狭さなど、見て来たような描写の精緻さは、この著者の特徴でしょうか。
リアルな兵器の描写に引き込まれてしまいます。

・・で、昨夜、小説を読み終えて、今日は、人間魚雷「回天」見物に九段の遊就館まで散歩となりました。
あいにく、回天の展示室は撮影禁止でした。
じっくり観察はしてきました。

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昨日の天気が信じられないような、九段の空でした。

小説では、健太の乗る回天を搭載する母艦は「伊号374潜水艦」という設定になっていました。
この潜水艦に乗って健太は昭和20年8月の沖縄の海に向かうのです。
沖縄の海がこの小説のクライマックスとなっています。


しかしながら、水を差すようですが・・・。
史実では伊号374潜水艦は昭和20年4月に、途中で建造中止となり実戦に参加はしていません。
伊号潜水艦は373号までしか存在していないのです。

そこまで調べた上で、伊号374潜水艦を小説に登場させたとしたら、荻原の小説の構想力に脱帽したいと思います。

8月15日に沖縄の海上に回天を乗せた伊号潜水艦は現実にはいなかったのですから。
現実に存在しない伊号374号潜水艦をどのように沖縄の海で行動させようとも、すべてフィクションの世界の出来事なのですね。


僕たちの戦争 (双葉文庫)

僕たちの戦争 (双葉文庫)

  • 作者: 荻原 浩
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2006/08
  • メディア: 文庫

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